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2話
家に帰ってから最初にすることはゲーム画面の中のイケメン達に「おかえり」と挨拶をする事だった。でも今は違う。制服のままベッドに乗り上げ横になりながら佐藤君のことを考えている。
あのイケメンに腕や手を握られたことも驚きだが、それ以上に彼が最後に言った言葉の方が私にとっては重要だった。
佐藤君は茂野君のことが好きだったんだ……。
素敵すぎる!凄くいい!
だってあの二人はお似合いなのだ。眉目秀麗な佐藤君とスポーツ万能でワイルドな茂野君のカップリングを普段から妄想しているだけで幸せだった。それが現実になるなんて、本当に幸せ!
暫く二人の絡みを妄想して幸せに浸ってしまった。
着替えようとベッドから起き上がり、ポケットの中から渡されたカセットを取り出す。それはいつも私がしている携帯型ゲーム機のものと同じだった。タイトルなどは書かれていないが、こういうのって高校生が簡単に作れるものなのだろうか?不思議に思いながらもやってみようと私服に着替え、差さっていたカセットを「ごめんね。少しの間さようなら」と声をかけながら抜き、代わりにそれを入れて電源をつける。
画面が明るくなった。
「妄想ゲーム……?」
タイトルが映し出されBGMが流れてきた。『はじめる』の項目を選び、主人公の名前や誕生日を設定するとプロローグが始まった。
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