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「あのね、ちょっと今から言う事を一度全て事実だと飲み込んだ上で話を聞いてくれないかな?」
「お……おう。」
言われた通り、突飛な事を言い出した星空ぴすけと名乗る男の話を一度だけ全て信じてみることにする。
俺の返事を聞くと、安心したかのように大きく息を吐き出した彼は、ぽつりぽつりと話し始めた。
「そうだな、人間界の構造と当て嵌めて話すね。
僕の働く会社の部署には『時間』を扱う所があってね、僕はそこに新入社員として配属されて、とある人間の人生を担当していたんだ。
ただ、僕はこの仕事に関して重大なミスをしてしまっていた。
他の人間と僕が担当していた人間との時間に対する体感を10倍近く変えてしまっていたんだ。
つまり、もし僕が担当していた人間が『時間に取り残されている』と感じた事があったとしたら、それは紛れもない事実で、僕のミスから生まれたものだということ。
これは本当にやってはいけない事なんだ。
ただ、時間というものは巻き戻らない。取り返しがつかないんだ。申し訳ないことをしたと思っている。」
一旦事実として受け止めることも困難なくらいとんでもない事を言い出したぞ。
というか、言ってることが難しくて一度で話を噛み砕くことが出来ない。
「……で、その『僕が担当していた人間』というのは」
「そう、君のことだ。」
今すぐこの場から逃げ出したい。
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