1人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ
授与所に並んだ媛守に目を奪われる。縮緬で作られた媛守のデザインは同じものがなくどれも、唯一無二だ。色もカラフルで若い女性が喜びそうだ。
インスタ映えって言うんだよね。
大学を卒業して以来、若者の流行には年々疎くなってきているが、テレビでタレントが口にしているおかげで辛うじてインスタ映えは知っている。
オレンジ、赤、緑と見ていると、飛び込んできたのはピンクだ。桜色のような優しいピンクではなく、まさにインスタ映えする濃いピンク。
木本さんのバッグに近い色かも。
ほかの参拝客に選ばれないよう、すぐに手に取る。もう一つはどうしようかと思い、再び媛守に目を落とす。
桜色もかわいいし、紅葉も今がシーズンということもあり捨てがたい。赤は定番カラーかなと思いつつ、緑で遊ぶ度胸もない。可愛らしい桜色にしようかと端まで来て足を止める。
目があった。媛守りと、だ。
水色の媛守りだ。御手洗池の水面に若葉が浮いている、そんなデザインだ。
手に取るとしっくりとくる。私が選ぶべきはこれだというのが手のひらから伝わってくる。
今日の空のようにすっきりとした水色だ。
最初のコメントを投稿しよう!