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下鴨神社を出ると糺の森を通って、出町商店街まで足を伸ばす。そこで行列に並び、有名な豆餅を購入する。下鴨神社に来たのならついでにと、上賀茂神社に足を伸ばす。
そして美術館や博物館と回って、京都駅に戻れば夕方。横浜から日帰り旅行の私が予約した新幹線の時間まであと四十分。改札を通り、京日和へと向かう。
到着時ののんびりとした様子とは違って、観光客やビジネスマンの帰宅時刻と重なる夕方は京日和の店内は混雑している。
レジではベテランの女性がハイスピードでレジを操り、お客さんがお金を出す間に商品を袋詰めしている。その早業に感心しながら、店内に目をやる。
捜しているのは神崎だ。
「いない、か」
あの時間にいたのならシフト勤務で帰ったかもしれない。そうだ、そうだよね。思いがけず、イケメン店員に会えて眼福だったと思わなきゃ。それもリストラに対するささやかな抵抗で休暇をもぎ取ったおかげだ。
「リストラばんざーい……」
全然バンザイじゃないけど。新年度は無職で迎えることになるけれど。
客観的に見れば、今の紗良は自棄になっている。
「バンザイですか?」
「ひっ!」
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