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ベテラン女性には及ばないが、神崎もスムーズにバーコードを読み込ませ、商品を袋詰めしていく。
「朝と比べて、すっきりした顔してますね」
「そうですか?」
自分ではよくわからず、紗良は頬に手を当てる。言われてみれば、体が軽いような気がする。
神崎は袋詰めする手を止めることなく、紗良に顔を向ける。色白で睫毛が長く、涼しげな目元はどこのイケメン俳優かと二度見しそうだ。
「オーラがクリアになっています。朝はもやがかかってました」
オーラ。スピリチュアルな人なんだろうか。
紗良の沈黙に、神崎は肩をすくめて見せる。
「僕、元神さまなんです。今はただの人ですけど」
「……はあ」
見たところ、神崎は今時のイケメンだ。神さまらしさはない。
「神崎くん、おもしろいやろ。元神さまでも、今はマイナンバーも持ってる普通の人やから」
片づけを終えてきた女性がころころと笑う。
確かに神さまならマイナンバー持ってないか。いや、神さまなら戸籍くらいなんとかできるのかもしれない。
「神さまでも戸籍偽造はできませんからね」
ころころ笑う女性の隣で、神崎が膨れっ面をする。
「それっぽいこと、してみせますよ」
唇を尖らせた神崎が、エプロンのポケットから四つ折りにした紙を取り出すし、紗良に渡す。受け取った紗良は、その場で紙を開く。
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