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何を言おうか言葉がまとまらない紗良に、神崎は自分の腕時計を指さして時間であることを告げる。
紗良は神崎に頷いて、女性に体を向ける。
「履歴書送らせてもらいます。よろしくお願いします」
一礼して、ホームめがけてダッシュする。
「おおきに。待ってますよって」
背後から聞こえた神崎の声に、紗良は振り返る。今まで標準語だったのに、なぜ急に京言葉になったのか。
神崎の姿は出張帰りと思われるサラリーマンたちの姿によって、すぐに見えなくなる。
元神さま発言といい、絶妙なタイミングでの契約社員募集。神崎に聞きたいこともあるし、彼をもっと知りたいと思う。
次の職場はここだな。
東京行きの新幹線・ひかりが京都駅のホームに入ってくる頃には、紗良は京日和で働くことを決めていた。
「これも縁だし」
早速縁結びの効果があったかと、リクライニングシートに体を沈める。
流れゆく京都の景色の中、紗良はこれから始まる京都での生活に胸を躍らせていた。
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