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そうやって暮らすうちに、一ヶ月が経った。
占い師の言葉は外れて、吹っ切れてはいない。
だけど、雪が死んだ野良犬の身体を静かに隠すように、少しずつ埋もれてはいる。
仕事やら飲み会の予定やら段々些細な日常がふり積もって、あの時感じた鮮烈な痛みは段々と遠くなっていく。
まだ雪は深くないので、ふとした拍子に彼のことを思い出しては、まだ生温かい恋の屍骸を野にさらしたりしてしまうけど、痛みはだんだん弱くなっている。
彼を思い出しても胸が痛まない日が、きっといつか来る。
そして、雪の上に、私は新しい血を流すのかもしれない。
できれば流れないでは欲しいけれど、それは私が決められることではないのだ。
埋葬が無事に終わり、この恋の墓標が立つ日を待ちながら、今日も私は彼と撮った写真を消せもせず、目に入らないよう、スマートフォンを触っている。
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