泥舟の会

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占い師に相談したりもした。 ネットで話題の占い師で、メディアの取材は全てお断り・占いの予約はブログのメールフォームから先着式と、あこぎなスピリチュアル業界にあって本物感のある人だ。 この人の占いの予約は、12月のはじめに取った。人気が高く、翌月以降の予約しか取れないのだ。その時はまだ彼と付き合っておらず、「いつ付き合えるか」と聞こうと思っていたのだ。 図らずもその予約から当日までの間に付き合う→振られるという工程を経てしまったので、質問は「彼と復縁できますか」になってしまった。見透かしたように予約を取った自分を、少し褒めたくなった。 予約した木曜日の午後、私は会社を抜け出した。土日はやっていないので平日限定。仕事の合間を縫って、抜け出す算段だったのだ。 喫茶店で話して周囲の目を引くのもいやだったので、会社から少し離れた道をうろうろした結果、とあるマンションのエントランスにお邪魔することにした。 事前に教えた私の携帯に電話が来てすぐに切れ、こちらから折り返す。 「彼と復縁できますか」と聞くと、  「彼ねえ、ちょっと不誠実な人よ」と言われ、「やっぱりそうでしたか!」とほっとしながらも、「彼はそんな人じゃない」と怒る自分もいた。 「いつ吹っ切れますか」と聞くと、「一ヵ月後には吹っ切れる」ときっぱり断言された。 「次の恋愛のチャンスはいつ来ますか」と聞いた。 「恋愛ねえ……」今度は少し考える様子があって、「一年半後ね」といわれた。  オリンピックよりはましと考えるべきだろうか。 「あなたは高潔な人だから、軽い相手とは縁が続かない」と言われて、電話を握りながらぼろぼろと泣いている横を工事のおっちゃんや営業のサラリーマンが通り過ぎ、不審な目で見られるたびに顔を隠す。高潔な人間はこんなことしないだろう、とぼんやり思った。
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