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光琉が初めてこの店を訪れた日、彼女は一人、見知らぬ猫を追っていた。もともと猫好きの彼女だったのだが、その日は無性にその猫を追い掛けたくてたまらなくなってしまった。
一人で登下校していたため、彼女が猫をひたすら追いかけ回した
ところで待たせる人間はなかった。急ぎの用事もなかったので気の済むまで追いかけてやろうと思ったのだ。
いつもであれば、野良猫が警戒心ゼロで寄ってくるはずなのにその猫は光琉から逃げ回った。
必死で追いかけた末、猫を見失い、辿り着いた先にこのレスピラシオンがあった。
何かに引き寄せられるように店の扉を開けると、咲き乱れる花の中、例の猫が夢一に抱えられていた。
光琉の姿を認めると、夢一に抱かれていた猫は小さく鼻を鳴らして彼の腕から飛び出した。そして、そのまま空中に姿を消してしまった。
その猫こそ、妖精だったのだ。
猫の妖精が見えていることに夢一は初め驚いたが、彼自身もまた妖精が見えるためにすぐに彼女の体質について理解した。
そして、混乱する彼女に彼女自身の体質を丁寧に説明してくれたのだ。
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