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『だって千代ちゃんだもん。』
情報を聞いてため息混じりにこう言った男女は何人いただろうか。この一文はあらゆる意味を含有した。
やってみたいだろうよそりゃ。
山田くんが選んで当たり前だよ。
穏やかなあの子はその性質から推し量れない不思議な力を有していた。全ての抗争をまるごと消し去る威力を発揮し、無力な者は嫉妬の炎の種火を叩き消しただひれ伏すだけだった。
敗者はうなだれたままなんとなく過ごし高校生活の終わりを心待ちにした。千代ちゃんと山田くんは人目を忍んで交際を始めるも、なんとなく人気だからという理由でお互い交際を決めただけあって、すぐにぶつかり合い、別れてしまった。
憧れの千代ちゃんと憧れの山田くんが交際するからといって憧れのカップルとして長く続くわけではない。巨乳には勝てないという真理に加えて、また新たな教訓を皆は胸に刻んだ。彼らは高校生にしては刺激的な出来事を目撃し、重みのある教訓を得てしまった。
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