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真っ暗だ。何も見えない。
メガネを外すと蛍光灯が相変わらず部屋を照らしていた。
視力に関してはイマイチ実感がわかないが、これから少しの不幸が訪れるらしい。
あの幸運のあとだ。何が起きるか分からない。
少しだけ身震いしたあと、先に彼女が入っている寝具へと潜り込んだ。
翌朝、とくに何かが起きるというわけでもなく起床。
ただいつもと違うといえば信号によく引っかかるくらいだ。
これがその不幸というなら少々肩透かしだが、これくらいなら。
家にあるメガネのことを思い描く。
今日また掛けるのが楽しみだ。
家では彼女が笑顔で出迎えてくれた。
こんな笑顔がまた見れるなんてメガネも粋なことをしてくれる。
また彼女を先に寝室に行かせて、1人リビングでメガネをかける。
真っ暗だ。
残念至極。だが不幸と言っても信号に引っかかる程度なら。
そう思い、一瞬霞んだ視界を無視した。
翌朝
今日もやはり信号機に引っかかる。
そして今日はあの逆ナンしてきた女性が他の男性にパンフレットを見せながら話してる姿を目撃した。
少し残念な気はしたが、むしろ騙されなくてよかったとホッとすべきだろう。
そろそろまた明るい視界が見えるかもしれない。家に帰る前からメガネのことが頭をちらついた。
今日はトイレの中でメガネをかけた。
もしかしたら場所の問題もあるかもしれないなんて考えたからだ。
真っ暗だ。
しかしここまで暗いのが続けば次は明るいだろう。それに幸運というのは毎日来たらありがたみが無いものだ。
なんて言い聞かせて、彼女の隣で寝る幸せを噛み締める。
少し目が疲れた気がする。
今日はよく休もう。
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