明日はきっと明るいから

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翌朝、相変わらず信号機に引っかかる。 逆ナンをする女性達もまだカモを狙っているらしくうろついている。 さて今日はどんな不幸が、そう思ったところに電話がかかってくる。 この前話した友人だった。 なにやらスケジュールがまた忙しくなるらしく、やはり遊びに行けないとのこと。至極至極残念。 だがまぁそれもお互い社会人であれば仕方ない。 家に帰ってメガネをかければそんな不幸吹き飛ぶに違いない。 そう考えているとパソコンのキーボードを打ち損じてしまった。 いけない。集中、集中。 家に帰るとまた彼女が笑顔で迎えてくれた。どうやら掃除をしていたらしい。 次はどこでメガネをかけようか。 お風呂なんてどうだろう。メガネをかけた。 暗闇が見える。 仕方ない。仕方ない。 大丈夫。明日はきっと、明日はきっと。 そう言い聞かせて眠りについた。 長風呂をしたせいか目がしぱしぱする。 翌日、相変わらず信号は邪魔をしてくる。またか。 会社につくと、怖い顔をした上司が待っていた。 最近、勤務時間ギリギリになって出社することを咎められた。仕方ない。信号機のせいなのだから。 そうとは言えず、さらに昨日の書類にミスがあったことを指摘される。 このままでは昇進も危ないといわれた。 あのメガネで明るい視界さえ見えれば、早く家に帰りたくて仕方なかった。 家に帰ると、少々乱れた髪で彼女が迎えてくれた。 昼寝でもしていたのだろうか、可愛い。 今日は外の街灯の下でメガネを掛けてみよう。 蛾の集まる真下でメガネをかけた。
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