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夜の帳よりも深い闇しか見えない。
そういう時もある。
明日は、明日はきっと明るいだろう。きっとそうだ。
そしてまた部屋に戻る。
部屋に戻るまでに何度かつまづいた。やはり薄暗いとつまづきやすいのだろう。
翌朝、またいつも通り出勤する。
信号は、親の敵のように足止めしてきたがなんとか出社。
ただ上司からはお前を昇進させようと推した俺が馬鹿だったといわれた。
見捨てられたのかもしれない。これを挽回するにはやはりメガネで幸運を呼ぶしかない。
今日は早く家に帰ろう。少し早めに眼鏡をかけても罰なんて当たらない。
もし罰が当たっても幸運でチャラだ。
ついでにと、彼女へケーキも買っていく。こうして徳を積めば明るい未来が見えるかもしれない。
彼女の喜ぶ顔を想像しながらドアを開ける。
知らない男物の靴がある。
部屋の奥へ行く。
そこには、数日前に会った友人と彼女がいた。あられもない姿で。
あぁ、今回のは流石に不幸がすぎる。不幸がすぎる。はやく、はやくメガネをかけなければ。
彼女が弁明していた気がするが、それはメガネをかけた後だ。
大丈夫。これをかければまた幸せな日々が戻ってくるから。
明日はきっと明るいから。
またメガネをかけた。
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