明日はきっと明るいから

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暗い。 暗い。 メガネを外しても暗い気がした。まるで月明かりで探し物をしている感覚だ。 いや、くらいと言ってもまだ全然みえるのだから大丈夫だ、これも明日またメガネをかけて明るければ帳消しになる。 明日はきっと。 翌朝起きると彼女はいなくなっていた。まぁこれもまたメガネをかけて幸運を呼べばいいことだ。 しかしこれでは出社するのも不便だ。 よろけながら出社していると、女性に声をかけられた。 なんて優しい女性だろう。 優しい女性は仕事を休んだ方がいいとアドバイスしてくれた。 女性の話は面白く、最後に幸運を呼ぶブレスレットを売ってくれた。 幸い宝くじの残高を全部使えば足りた。 これでメガネをかければ今度こそ明るい視界が見える。 よろけながらも急ぎ足で家へと帰った。 メガネをかけた。 真っ暗だ。 なぜ真っ暗なんだ? メガネをはずした。 なぜ真っ暗なんだ? もう何も見えない。何が視力を少しいただくだ。これだけぶんどって行きやがって。 でも大丈夫。 だって明日またメガネをかければいいのだから。 明日はきっと明るいから。 おわり
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