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激しい雨は匂いを洗い流し、視界を奪う。それでもぼくたちは戦線を川岸まで押し上げた。必ずラインハルトさんたちが助けに来てくれる。濡れ鼠になりながら、ぼくたちは戦い続けていたけれど、やはり多勢に無勢、ぼくたちは押し込まれつつあった。そのときであった。
『ジローさん、私も戦います!』
そのとき、傷ついた仲間をかばうように、ハルさんが戦線に躍り出た。女子供は後ろに控えるように言っていたのに、仲間を救うため彼女は飛び出してきたのだった。しかし、それは逆効果だった。
『ラインハルトの娘だ! あいつを狙え!』
デンたちはいっせいに、ハルさんに向けて襲い掛かった。虚をつかれたハルさんは微動だにできず、デンたちの牙が彼女へと迫った。そのとき、じりじりとした地鳴りがした。ぼくは。
『ジローさん……?』
『みんな、今だ! 土砂崩れに向かって、全力で走れ!』
ハルさんを突き飛ばし、デンたちの牙に食らいつかれながら、ぼくはあらん限りの声で叫んだ。その直後、激しい鉄砲水があたりを包み、ぼくとデンの群れを飲み込んでいった。
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