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隙間無く閉じていたはずのカーテンから、朝日が差し込んでいた。
眩しい。目を瞑っていても、瞼を透かして光が入り込んでくる。それから逃れるため布団を被ろうとするが、体は金縛りにあったかのように動かない。自分が自分ではなくなったような離人感。
……私は、生きたまま死んでいる。
〝あんた、いつまでそうやってるつもり?〟
いつまでだろう。早くこの状況から抜け出したい。そう思っているのに、何故か体は動かない。私はなんで、生きているんだろう……。
答えの無いいつもの問答をしていると、あっという間に時間が過ぎる。一番苦しい朝の時間をやり過ごすと、太陽の光は角度を変え私の顔の上を通り過ぎていった。今頃吹奏楽部では秋の運動会に向け入場曲の練習をしているだろうか。卒業した先輩からもらったマウスピースは、きっと机の隅で埃を被っている。
ようやく腕が動くようになり、枕元にあったスマートフォンを手に取る。リコから私を心配するチャットが来ていた。いつものことだが遅刻だ。
『起立性調節障がい』。ストレスから発症したらしい、その難しい名称を覚えられたのは最近のことだった。
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