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「今、辻上さんが、智樹くんに説明をしに行ってくれています。
ただ、彼の言葉を、智樹くんがすんなり受け入れるかは分かりません。
ですので取り敢えず今日は、智樹くんとの仕事は、なるべく避けるようにしましょう。
それで折を見て米倉さんは、智樹くんだけではなく、誠二くんも松本さんも
好きだという事を、はっきりとした言葉で智樹くんに伝えてください」
しかし、この矢代の言葉が、かなりの重みを持つのに時間はかからなかった。
程なく、部屋に戻ってきた絹矢の顔は、先程からは一変。
明らかな不満を浮かべた、仏頂面になっていた。
しかも、その後ろから入ってきた辻上も、益々難しい顔になっている。
そんな様子に、未波は焦った。
そして、すぐにも矢代のアドバイスを実行しようと
絹矢に歩み寄りかけた彼女の肩を、そっと矢代の手が掴む。
振り返った未波の視界の中で、矢代は、やんわりとかぶりを振ってきた。
それから、いつもの暢気な口調で始業を告げる。
「今日は、誠二くんと米倉さんが宅配班。
智樹くんは、私と郵便班でお願いします」
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