3 重い初恋

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ところが、その途端に絹矢の大きな声が上がった。 「俺は、宅配班がいい! 誠二くんと換わりたい」 それに、事の経緯を知らない勝俣が、キョトンと呟いた。 「俺は、別にいいけど……」 しかし矢代は、こんな時の対応に慣れているようだ。 「智樹くん、これはお仕事です。 お仕事は、任された事をしっかりとしないといけないですね?  ですから、今日は、郵便班のお仕事をしっかりしてください」 恐らくこれは、ここに配属されて、きちんと教えられた約束事なのだろう。 ひどく不服そうながらも、ようやく絹矢は頷いた。 こうして作業が開始されて間もなく、未波は、そっと辻上に歩み寄った。 「あの、さっきは、すみませんでした」 囁くように詫びを口にした未波を、チラッと冷ややかな辻上の目が見遣る。 そして、すぐに視線を外した彼は、相変わらずの無愛想な口調で呟いた。 「まぁ、きちんと言われてなかったんだから仕方ないだろ」
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