3 重い初恋

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えっ……。 てっきり嫌味の一つも言われるだろうと覚悟をしていただけに、 未波は、ちょっと驚いた。 だからつい、抱えた不安が口から零れ出る。 「あの、智樹くん、納得は……?」 尋ねた未波の横で、辻上の手がわずかに止まった。 そして、少しだけ背後へ視線を向けた彼の顎が、 クイッと小さくしゃくられる。 「あの通り。俺の言葉より、好きな女の言葉のほうに耳が傾いてる」 はあ……。 未波は、思わず困惑の溜息を細く零した。 ところが、その時。 背後から、絹矢の大きな声が飛んできた。 「未波ちゃんと、内緒話なんかするなっ!」 「違うの。これは……」 しかし、未波が言い訳を声にしかけた時、 社内便よりも先に出社した松本が、驚き顔で部屋に現れた。 「まぁ、智樹くん。どうしたの? 随分と、ご機嫌斜めね」 そして、そんなタイミングを計ったように、 社内便の荷物を積んだ宅配業者が、台車と共に入ってきた。 「おはようございますぅ」 「あぁ、どうも。ご苦労様です」 それからは、いつもの午前の慌ただしさに忙殺され、 朝のゴタゴタを引き摺る余裕さえなくなる。
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