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しかし、早番の昼休みを迎えると、再び絹矢の駄々が復活した。
「俺、今日は、昼ご飯食べない」
この日の遅番は、辻上と未波。
それが不満なようで、メール室に残ると言いだす。
「あらぁ、ご飯は、ちゃんと食べないとだめよ。
午後に、くたばっちゃうんだから」
宥めるように言う松本だが、絹矢は「平気!」と
いつものように素直には頷かない。
それどころか、「俺、未波ちゃんと一緒にいる」と床に座り込んでしまう。
しかし未波は、どうして良いやら分からず、困惑の視線を矢代に向けた。
それに応えるように、矢代は小さく頷く。
「智樹くん。米倉さんには、まだお仕事があるんですよ」
そして未波は、視線を向けてきた矢代に慌てて続いた。
「智樹くん、ちゃんとお昼は食べてきて。
私も、残りの仕事をしっかりするから」
未波の言葉に、絹矢は、にわかに押し黙った。
そして、じっと彼女を見つめて低く言う。
「二人で、内緒話しない?」
未波は、きっぱりと頷いた。
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