3 重い初恋

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「うん。だって私には、仕事が残ってるから」 そして、再び考えるように押し黙った絹矢が、黙ったままで頷く。 こうして4人が部屋を出て行って程なく、未波は大きく肩で息をついた。 気付かなかった甘さは、否めない。 だが、不用意なたった一言で、 この日のメール室は、妙な緊張感に満ちてしまった。 しかも未波には、矢代のアドバイスをどのタイミングで実行すればいいのか、どうにも掴めない。 はあ……。 そして、また口元を掠めた溜息と、ボソリとした辻上の声が重なった。 「昼……」 えっ?  未波は、思わず背後の声に振り返った。 だがそこには、辻上の背中が向いているだけ。 しかし、 「当面、昼は外に行ったほうがいい」 「なんでですか?」 尋ねた未波の声に、ピタリと辻上の作業の手が止まる。 そして、やや冷たい声が再び呟くように言う。 「これ以上、アイツに気を持たせるような事はしないほうがいい」
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