3 重い初恋

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そんな事は、分かっている。 というか、それをしない為に未波だって、 矢代のアドバイスのタイミングを必死に探っているのではないか。 だが、相変わらず背中を向けたままの辻上は、 そんな彼女の思惑を無視するように、更に言った。 「それと、今日は残業していったほうがいい」 もちろんこれが、帰宅のタイミングを絹矢とズラすためだということは 分かった。 だが、こちらばかりを責められているように聞こえて、 未波は、思わずイラッとくる。 そして、今朝からずっと苛まれてきた自己嫌悪も手伝って、 つい剣のある口調で言い返した。 「分かってます。 私だって、なんとか智樹くんに早く私の真意を伝えようと思ってますし、 一生懸命、タイミングを探してます」 ところが、少し張り上げた彼女の声音に驚いたのか、 背中を向けていた辻上が、ふと振り返った。
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