2 前途多難(つづき)

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この部屋の構造は、単純。 入り口から向かって右側に、本社内の部署ごとの棚。 反対は、各支店と外部への振り分け棚が、それぞれ壁の半分以上を埋めている。 その各棚の前に設けられた作業スペースを挟んで、 受付テーブルが左右に置かれている。 そして朝は、始業のチャイムと同時に 受付テーブルの間の中央スペースで、短い朝礼。 その後に、矢代に声を掛けられ、説明が始まった。 「ええっと、午前中の仕事はですね、 まずは、さっきしたように郵便班と宅配班に分かれます」 そして、「今日は、私と一緒に郵便班をやりましょう」と言ってくる。 なんかその言葉に、あの無愛想エースから隠れられる 大きな隠れ蓑を得たようで、未波は、ホッと胸を撫で下ろした。 「毎日、本社便は10時前に。郵便は、10時半頃に配達がされます」 そして、未波たちの向かいの作業スペースでは、 今日は、宅配班になった勝俣と絹矢によって 昨日の閉め時間以降に持ち込まれた社内便の荷物や書類が、仕分けされている。
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