2 前途多難(つづき)

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それから程なく、開封作業が大分進んだところで、 未波は、矢代から封筒の束をポンと渡された。 「じゃあ米倉さんは、慣れるためにも あっちで、一足先に、これの仕分けを始めてください」 「あ、はい」 未波は、カッターをその場に置き、 渡された封筒を手に、反対側の壁を埋める棚へと小走りに向かう。 ところが、いざ作業を始めて程なく、問題が発生した。 予想通り、最上段の棚である。 なにせ、7センチヒールの昨日の段階で 背伸びをして、辛うじて届いていた高さだ。 その強い味方のヒールの無い今は、背伸びくらいでは到底届かない。 未波は、足台になる物を求めて周りに視線を巡らせた。 すると、部屋の隅に立てかけられている三段の脚立が目に入った。 だから、 「あの、コレ使ってもいいですか?」 脚立に駆け寄った未波は、 誰にという訳でもなく、それを持ち上げ声を掛ける。 ところが、上司で今日は同じ郵便班でもある矢代よりも先に 答えにならない返事をしたのは、辻上だった。
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