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しかし、そんな未波に、
台車に仕分け分の書類を乗せてこちらに回ってきた松本が、コッソリと囁いた。
「あれでもね、辻上さんなりの優しさなのよ」
ちょっと分かり難いけどね。
クスッと小さく笑う松本に、未波は、思わず顔を歪めた。
「あれがですか?」
しかし松本は、手慣れた様子で仕分けをしながら小さく頷いた。
「ほら、こういう作業って、みんなで一緒にしないとならないでしょ?
だから、ここに脚立を置いちゃうと、ちょっと動き難くなるのよ。
だから、背の高い智樹くんをコッチに回してきたって訳」
ふぅーん。
まぁ、理屈は通る。
それだけに、未波も唸るしかない。
「だからね、高い所の物は、コッチに置いておいてくれれば
私と智樹くんで入れるから。米倉さんは、届く所に入れて」
はい。
この場はこれしかなく、頷いた未波は
再び胸の内で、コッソリ溜息を細くついた。
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