3 重い初恋

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3 重い初恋

メール室への出向になって、10日が過ぎた。 確かに仕事内容は、未波にとって未経験の事ばかり。 しかも、大半が肉体労働なだけに、最初の数日は筋肉痛との戦いもあった。 だが、肉体的に慣れてしまえば、仕事自体は単純作業がほとんどなため、 未波も、大分テキパキとこなせるようになってきた。 それと同時に、ここの仲間とも大分打ち解けてきた。 そして、ここでの仕事も1週間もする頃から、辻上と矢代以外の人間からは 「未波ちゃん」と呼ばれるようになった。 それと同時に、未波も他の人たち同様、 勝俣と絹矢のことは下の名前で呼ぶようになる。 だからという訳でもないが、当初は一人で行っていた昼休みも、 いつしか自然と、誰かと一緒に行くようになっていた。 しかし、無愛想エースの辻上だけは相変わらず。 取っ付き難さはこの上なく、どうにも何を考えているのやら 未波には分からないことが多い。 だから彼女は、この日、昼を一緒にする松本に 愚痴半分で、その事を持ち出した。
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