36人が本棚に入れています
本棚に追加
「私、どうも辻上さんって苦手です」
だが松本は、淡く苦笑こそ浮かべたものの、辻上への評価は低くはない。
「確かに、愛想はないわよね。辻上さんだってまだ若いんだし、普通なら、
未波ちゃんみたいな可愛い子が入ってきたら、もう少しウキウキしてもいいもんね」
「いや、私は別に可愛くは……」
松本の褒め言葉に、未波のコンプレックスがズキッと痛む。
しかし、それで思わず口にした謙遜に、絹矢が首を振った。
「未波ちゃんは、可愛い」
ナポリタンのケチャップで口の周りをオレンジにしながら、
真面目腐った顔で、きっぱりと言われる。
それに未波は、思わず細く笑った。
「ありがとう。でも私も、もう『女の子』っていう年でもないので、
別に浮き立ってくれとは思わないですし、無愛想なのは性格なんだって
流すことも出来るんです。
ただ、なんていうか、掴みどころがないっていうか、
何を考えてるか分からないことが時々あって。
それが、なんとなくモヤモヤするっていうか……」
最初のコメントを投稿しよう!