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わたしはもう自分の反応を知るのも物憂くて目を閉じた。そしたら自由が少しでもあるうちに。こんな恥辱を二度と受けるくらいならその隙に死のう。
もう何も考えたくない。このまま外との繋がりをすっぱり切って。真っ暗な中で辱めを受けた身体を誰の目にも晒さずに小さく縮めていたい。未来のない世界。自意識も何もかも手放して。
…ふと、静かだな、と気がついた。振動は続いてるしわたしの中で動き続けてる。でも、人の声がしない。
部屋の中に気配はあるのに。わたし、あまりの仕打ちに耐えきれなくて何処かおかしくなっちゃったのかな。耳が聴こえなくなったとか。
そしたらモーター音もわかるはずないか。身体に感じる振動とは別に確かに微かな音が耳に届いてる気がする。それとも、男たちの下卑た言葉が受け入れられなくてそれだけ選択的にシャットアウトしてるのか。
そんな便利な機能があるならもっと早く稼働してほしかった。
「…眞名実。…ちゃん」
恐るおそる、といった感じに男の震える声がわたしを呼んだ。低い、囁くような声。さっきまでの侮辱するような物言いと全然違う。…誰か別人がここに入ってきたのか、と思うくらい。
それをきっかけに場の空気がふわ、と変化した気がした。ぎゅっと瞑っていた瞼を緩めておもむろに目を開いてみる。でも、何かがかかったように全てがぼんやりと霞んでる。…ああ。
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