第10章 自己中心的縞猫

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今まで見ないふりを決め込んでこんな行為に溺れていたけど。ようやく真面目に先のことを考えなきゃいけない、とばかりに現実を目の前に突きつけられた気がした。 深い時間帯にぎし、とベッドの重い軋み。わたしは眠気の醒めやらない目を上げて上がってきた人物を確認した。…ふぅん、そっか。 「長崎くんも参加権あるんだ」 「何でだよ、酷いな。なんで俺が除外されなきゃいけないの?」 低く声を抑えて毛布に潜り込んで身を寄せてくる。もう夏場なので布団はしまい込まれた。でもこの部屋の広さで大の大人が四人。クーラーは欠かせない。除湿とはいえ一晩中動いてるから、わたしの身体には毛布なしもきつい。だから、長崎くんの分厚い身体が隣にきてもやっぱりその温かさが嬉しく思える。わたしは身を捩らせて彼の分の空間を空けながら答えた。 「だって彼女持ちだし。こんなの必要ないのかな、と思って」 「それはここでは関係ないだろ。とにかく、今こうしてる間はさ…。それにまだ一応独身だし。犯罪おかしてるわけじゃないよ」 「不倫でも別に犯罪ではないよ、全然」 身を寄せ合ってごそごそやり取りしながら思う。やっぱり長崎くんは話しやすい。多分彼女がいて結婚も決まってて、この後わたしとどうにかなることはないってわかってるから何か尋ねたり言ったりしても大丈夫って安心感がある。要らんことを口にして地雷を踏む恐れがない。     
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