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    ***  来月、祖母の千恵子が施設に入る事になった。  大正・昭和・平成と生きた祖母は、認知症を患い介助が必要となっていた。しかし体の方は至極丈夫であった。祖母は、九十年間自分はB型だと思って生きていたのだが、施設に入るため受けた血液型検査で、AB型であることが判明した。  私達親族は、その事実に驚愕して同時に感心をした。つまり祖母は、この年まで輸血を必要とする大病をしてこなかったのだ。  今日叔父と母は、祖母の自宅の整理のため駆り出された。  孫の自分も何となくその場に立ち会う事になったのだが、何をしてよいのか、荷物の山に途方に暮れ立ち尽くしているところだ。  祖母は、何でも捨てずに取っておく人だったので、自宅の一室が荷物の倉庫になっている。その量たるや半端がない。戦時中を生きた人達は、こんなものだろう。認知症を患ってからは、荷物を片づけるのを不安がるようになったので、今日までそのままになってしまった。     
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