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「ナルミちゃんて人当たりよくて誰とでもニコニコ仲良くやってるように見えるけど、本音で付き合える人間って社内にいる?
誰にも相談出来ないときは俺に言えよ?
大事な部下に何かあったら一大事だし、俺みたいなオッサンなら別に恥ずかしいも何もないだろ」
「……っ」
ヤバイヤバイヤバイ、何だこれ。
こんな核心に触れる話なんて社内の誰ともしたことなんてない。
ましてや必死でみっともない姿を上原さんに見られていたなんて、恥ずかしくて居たたまれないというか。
どうしよう。
込み上げてくる色んな感情がごちゃ混ぜになって……、
ヤバイ、ちょっと泣きそうだ。
「……付き合ってた彼に結婚を迫られたんですけど、そもそも結婚なんてする気もなけりゃ仕事を辞める気もないのに話を進められて。
別れましょうって正直に告げたら、今さら遅いって殴られました」
慌てて壁側に身体を翻し、私は額をゴンと壁に打ちつける。
「ふーん」
「そこからはよくある話ですよ、暴力に訴えられて、電話とメールがひっきりなしに」
「今は?もう解決したの?」
熱く火照った頬を冷たくなった両手で押さえて、深く深く深呼吸してから上原さんに向かい合う。
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