【バレンタイン狂詩曲】

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元々、社内恋愛には否定派だった。 だってそうじゃない? 会社は仕事するとこだもん、恋愛感情で一喜一憂して仕事に支障が出るなんて最悪だ。 それに恋愛感情に振り回されて人間関係がギクシャクするのも、衆人環視の恥ずかしい状況で愛を育むのも、 何ソレ、罰ゲームかって。 「あ、ナルミちゃん、そろそろ仕上がりそう?」 そわそわしながら腕時計を見つめる樫くん。 残るよ、とゴネる篠村センパイを笑顔で帰した割には、物凄く帰りたそうじゃないか、キミ。 「ん、とりあえず、追加提案分の仕様書は一通り揃えたから、現場写真に無理やりイメージ合成したら終了かな。 取り急ぎだし、大体の雰囲気が伝わればいいでしょ? 追加見積り取るならサーバーのフォルダに必要な書類は全部まとめてあるから」 「さすが、ナルミちゃん!」 「あ、樫くん、さっき言ってた熊本料理、付き合ってくれるよね?」 「ええっ!?」 「嘘だよ」 表情がコロコロ変わる樫くんに私はブハッと吹き出した。 そんなに露骨に嫌がらなくたっていいじゃん、私だってそこまで空気読めないヤツじゃないってば。
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