20人が本棚に入れています
本棚に追加
元々、社内恋愛には否定派だった。
だってそうじゃない?
会社は仕事するとこだもん、恋愛感情で一喜一憂して仕事に支障が出るなんて最悪だ。
それに恋愛感情に振り回されて人間関係がギクシャクするのも、衆人環視の恥ずかしい状況で愛を育むのも、
何ソレ、罰ゲームかって。
「あ、ナルミちゃん、そろそろ仕上がりそう?」
そわそわしながら腕時計を見つめる樫くん。
残るよ、とゴネる篠村センパイを笑顔で帰した割には、物凄く帰りたそうじゃないか、キミ。
「ん、とりあえず、追加提案分の仕様書は一通り揃えたから、現場写真に無理やりイメージ合成したら終了かな。
取り急ぎだし、大体の雰囲気が伝わればいいでしょ?
追加見積り取るならサーバーのフォルダに必要な書類は全部まとめてあるから」
「さすが、ナルミちゃん!」
「あ、樫くん、さっき言ってた熊本料理、付き合ってくれるよね?」
「ええっ!?」
「嘘だよ」
表情がコロコロ変わる樫くんに私はブハッと吹き出した。
そんなに露骨に嫌がらなくたっていいじゃん、私だってそこまで空気読めないヤツじゃないってば。
最初のコメントを投稿しよう!