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「お、疲れさま、です」
「………」
私の頭が直撃してしまったその人は、声にならないまま顎を押さえて悶えている。
いや、私も痛いけど、顎は相当痛いだろう。
「すみません!私、気づかなくて!」
「いや、俺も慌ててたから」
どうしてここにいるんだろう、なんて嬉しさよりも、この状況をどう説明すればいいのか分からない。
「忘れ物?」
「……えっと」
「まさか、また戻って仕事するなんて言わないよな?」
「………」
「……やっぱり」
無言で俯く私の頭上から上原さんの大げさな溜め息が聞こえてくる。
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