20人が本棚に入れています
本棚に追加
「どういうこと?」
「ん?」
「トラブルでもあったのかと思って、ダッシュで帰ってきたのに」
樫くん、滴り落ちる汗が美しいわ。
ちらりと姫を伺い見ると、今までのやりとりが気まずいのか、カツカツとヒールを鳴らしながらデスクへと戻って行った。
「私も大好きなセンパイのために、身体張って頑張ってるんだよ~」
「は?何それ」
いいのよ樫くん、男は女のゴタゴタに首を突っ込む必要はないの。
「それより篠村センパイ、きっと樫くんの分もコーヒー淹れてくれるよ。
センパイの分も買ってきてあるんでしょ?一緒に休憩しようよ」
私はにっこり笑って樫くんの手に下げられた袋を指差すと、
「……ワケ分かんない」
ハァと大きくため息を吐きながら、樫くんは自分のデスクに向かって歩き出した。
最初のコメントを投稿しよう!