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頑張れ、樫くん。
最近彼氏が出来て可愛くなったと囁かれている篠村センパイだけど、もしかしたら振り向いてもらえるかも……なんて。
「ナルミちゃん、コーヒーどうぞ!」
「わー、ありがとうございます」
こんなに幸せそうな顔してるのに、それはないか。
「樫くーん!」
「はーい」
ブッ、樫くんてば嬉しそうな顔しちゃって。
仕事と恋愛を同時進行なんてどんな罰ゲームなのよ、なんて私だったら思うけど。
この二人を見てたらオフィスラブも悪くないかな、なんて。
『いただきまーす!』
三人でパクリと鯛焼きを頬張る。
「樫くん、コレ美味しい!」
「でしょう!あの行列に並ぶの嫌だからって、俺に無理やりお金握らせて買って来いって。ナルミちゃん、ひどくないですか?」
「篠村さんとこうして楽しいひと時を過ごせるなら、樫くん頑張った甲斐あったじゃん。
あ~、上原さんのコーヒーも美味しいな~」
「ホントホント、あのケチな上原さんがよくOKしたよね~」
「ですよね~」
ニコニコ笑う篠村さんに樫くんが優しい眼差しを向ける。
一緒にいたら仕事がさらに頑張れる、
私にもそんな素敵な相手が見つかるといいな。
「おい!!篠村!!お前、俺の豆勝手に使っただろ!!
あれ、100グラム3000円もする限定品なんだぞ!!」
「ええっ!?だって!!」
ヤバ、バレたか。
てへ、と舌を出した私は、マグカップと鯛焼きを抱えてそそくさとデスクに戻った。
さて、今日も残業頑張りますか!
SPECSの片隅にて。
オフィスラブ観察中。
おしまい。
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