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「……だから、あいつらがくっつくはずないだろ、あれは絶対に姉弟的なものだって。
大体、篠村は樫本みたいな甘え上手の可愛い系じゃなくて、どこかの誰かさんみたいに笑顔でゴリ押ししてくる強引な男がタイプなの。分かる?」
おっと、2本目に火をつけたぞ。
ちょっとペース早すぎないか?
「ま、どっちも俺みたいな大人の魅力にはまだまだ追いついてないけど」
そう言って咥え煙草のままスマホの画面をタップした上原さんは、
「ナルミちゃんて結構人を見てるようでも、まだまだ読みが甘いよね」
そう言って煙を吐き出しながらニヤリと笑った。
瞬間、
私の画面の中にある盤上には『東』と描かれた牌(ハイ)が現れる。
全然分かってないな、この人。
「はい、ロン。その『東』ドラですよ。しかも私、親ですからね?」
「えぇっ!?」
上原さんてば、本当に分かりやすい。
ていうか、チョロいな。
こんなにベタな待ち牌、リアル麻雀なら絶対に上がれないぞ。
「はい、私の勝ち。上原さん、私、ホイップ追加したキャラメルマキアートでお願いします」
「はぁ!?お前、俺に駅前までコーヒー買いに行けって言うの?」
「だって負けたらコーヒーって言い出したのは上原さんじゃないですか。今さらナシなんて狡いですよ」
借りますね、と上原さんのライターに手を伸ばして、私は自分の煙草に火をつけた。
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