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「いまなんていった?」
鬼狩りの関東第七支部に、怪我の自宅療養から復帰した一条夏樹は、自分を呼び止めた金子愛利からとんでもない話を聞いて耳を疑った。信じられない思いで、廊下に棒立ちになる。
一条夏樹は鬼憑きであり鬼狩りである。人の願いを歪んだ形で叶えてしまう鬼と、それと知らずに契約して鬼憑きにされた。
自分より優秀だった兄に勝ちたいと願った夏樹の願望は、不慮の事故で兄が寝たきりになるというなんとも悲惨な叶えかたをされてしまった。
胸に焼きついた鬼の眷属の印は、自分に印を施した鬼を倒すことでしか消せない。印があるうちに夏樹が死んだら、夏樹の魂も印に喰われて、死後は鬼になってしまう。
寝たきりとなってしまった兄への罪滅ぼしのために、そして自分のために、鬼たちと戦うことを志した夏樹は鬼狩りの組織に入り、実行部の戦闘員として日々鬼たちと戦っている。つい最近も死にかけた。
戦闘員は、過酷な仕事だ。
それに。
「実行部に、入るだと?」
問う声が震える。無理もない。晴天の霹靂だった。
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