兄弟対決

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『こんなの、ビワ‐チケットで決まりだろ!?』  競馬新聞の馬柱表を見て、友人がそう言って来たくらいの人気であった。 『いやいや。俺は二着はネーハイシーザーと見ますよ。』  そんな予想をしていたが、そういう私もビワの勝利は疑っていなかった。  ここまで15戦して、10勝二着5回。  このシーズンにあと2つ戦績を上乗せし、来春にはシンザンに追い付くと、日本中の競馬ファンのほとんどが信じていたと思う。  その証拠に、この日東京競馬場に集まった観客は19万人以上と発表されていた。  地元が栃木の私は、残念ながらTV観戦だが、私のような人間を合わせると、果たして何百万人がこのレースを見ていたのか…  そうして大観衆が見守る中、お馴染みのファンファーレが東京競馬場に響き渡り、いよいよゲートが開いた。  レースは予想通り、前哨戦のステップレースである毎日王冠(G2)を勝ったネーハイシーザーが引っ張る展開になる。  ビワと鞍上の岡部は、いつも通り好位追走。  2~3番手を進み、直線早めに抜け出して、そのまま押し切る作戦だったのだろう。  しかし、3コーナーから4コーナーの大欅を周り、直線に入ると、大観衆から悲鳴に近い歓声が上がる。
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