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5 夜想曲(つづき)
あのハプニングも、それに続いた事も
全て彼女が帰宅した後に起こった事だから、松本が訝るのも無理はない。
だから未波は、一連の事をかいつまんで話をしていく。
しかし、それに松本はサラリと言った。
「まぁ、学校の事はよく分からないけど、
お礼は、チョコレートでも一緒にあげればいいんじゃないかしら。
ほら、脳みそには甘い物が良いっていうじゃない」
もう未波は、このアドバイスに縋るしかなかった。
そして、矢代に断って、こっそり秘書室の同期に連絡を取り、
近くの店を教えてもらい、昼休みに急いで向かう。
だが、こうして用意はしたものの、
勝俣の目の前で渡すことも気が引けて、タイミングがなかなか掴めない。
そうこうしている内に、夕方の慌ただしさに突入。
そして、ようやくそれが終わり、
勝俣に「送ろうか?」と声を掛けられている内に、
辻上は、早くも帰宅してしまった。
あぁ……。
勝俣に丁寧に断り、彼を見送った未波は自分のロッカーの前で項垂れた。
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