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「もう逃げない。
ううん……逃げたくないの」
私が長い年月をかけて
植え付けてしまった
温人さんの心の痛み。
それをもう手の施しようがなくなってから
自分のせいで見せつけられている。
目を反らしてはいけない。
これは温人さんだけじゃなく、
私の、ふたりの傷でもあるのだから。
「だから、縛りつけていいの。
逃げられないように
もう逃げずに済むように。
そうされたいって
心から思ってる。
簡単にはいかないかもしれない。
ぶつかることだって
この先きっと、いっぱいある。
それでも、それが
私たちの幸せに繋がるって、信じてる」
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