幸せの結び方

15/40
前へ
/40ページ
次へ
私は感慨深い気持ちで 目の前で怒る志藤くんを見た。 優しい熱と 確かな痛みが同時に生まれ それらをギュッと 胸の中に閉じ込めるようにして 笑った。 「そっか…… 温人さん、そんな風に見えてたんだ」 「おい。俺の声聴こえてるか?」 「それなら私も ちょっとは結婚てものを 実践出来てたのかもしれないね」 「実践て、色気のない言い方だな」 でも、足りなかったんだろう。 自覚して出来ていたわけじゃないから さもありなん、だ。 「あのねぇ、志藤くん」 「なんだ。まだあるのか? いい加減帰る……」 「温人さん 昨日、帰ってこなかった」
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

282人が本棚に入れています
本棚に追加