幸せの結び方

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「じゃあ…… 俺んち来る?」 火照った指先に 何かが触れた。 耳に膜が張られたように 音がぼやけて聴こえる。 「この店、俺んちの近くだって わかっててお前もついて来ただろ」 「んん……なんて?」 「俺んとこに逃げてくるのも アリだと思ったんじゃないのか」 志藤くんが早口で 何か言っている。 指先が暖かい。 火照りとは違う、 温もりに包まれている。 「なんて、 こんなクズみたいなセリフ 言うつもりじゃなかったんだけどな……」 「しとーくんは、クズじゃないよー」 「じゃあ、来るか? 捨てられたなら、俺のとこに来いよ」 「んー……」 捨てられたって、 聴こえた気がする。 そうか、やっぱり私は捨てられたのか。
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