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怒りを押し殺したような
広い背中が目の前にある。
想いが通じ合ってからも
どこか遠く感じていたそれが
いまはちゃんと
正しい距離でそこにあった。
「上遠野GM!」
背中にかけられた呼び声に
温人さんの足が止まる。
振り返ると、
志藤くんの真剣な色をした目が
私たちをじっと見ていた。
そういえば私、
迷惑をかけたことを謝ってもいない。
何か言わないとと思うのに
この状況で何が言えるだろうと
開きかけた口を閉じた。
「次はありませんから」
それは挑発のようにも
何かの宣言のようにも
そして戒めのようにも聴こえた。
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