幸せの結び方

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学生の頃はこうして ふたりきりで飲みに行くことなんて 一度もなかったのに、変な話だ。 当時よりも随分と 私たちの仲は近づいたと思う。 私が自分の罪を打ち明けて 彼がそれを受け止めてくれたからだろう。 精神面でも仕事面でも 志藤くんには 随分と助けられている。 この店も彼の馴染みで 「他人の目を気にせず 思う存分飲みたい」 と言った私を 仕方なさそうな顔で連れてきてくれた。 個室なんてないけれど 常連客が多い店らしく それぞれ好きに楽しんでいて 誰も私たちのことなんて 気にもしていない。 店員の対応もさっぱりとしていて 鬱陶しくなく居心地が良い。
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