幸せの結び方

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そう言って 通りがかった店員に 「水ひとつお願いします」 と頼む志藤くん。 私はすかさず 「ハイボール」と注文を被せた。 前の席から非難の視線が ぶつけられたけれど 気付かないふりで テーブルに突っ伏すようにして ひんやりとしたそこに 火照った頬を当てる。 「ったく……。 あと1杯だけ飲んだら帰るぞ」 「まだ話し終わってないから、やだ」 「やだ、じゃねーよ。 あーもう……勘弁しろよ」 がしがしと 頭をかきむしり 大げさなため息をつく志藤くん。 文句を言いながらも 付き合ってくれる彼は やっぱり大学の頃と変わらず おせっかいで優しい、いい人だ。
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