farewell

7/7
前へ
/7ページ
次へ
 ただ、道路に一歩足を踏み出したとき、元気な声でそう言って手を振る少女の向こうに、一瞬だけ、ひらりとひらめく律の白いてのひらを見たような気がした。 「──ああ、またな」  そして、深谷は手を振り返して歩き出す。  坂の下を走る電車の轟音が、暮れ行く夏にまたひとつ、長く尾を引いて流れていった。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

72人が本棚に入れています
本棚に追加