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新しいご主人さま
四回の日曜日が過ぎた翌日の閉店間際だった。
女の人が二人で僕のゲージにやってきた。
時間が遅かったので僕は目も覚めていたし今日は静かだったから比較的気分が良かった。
『うわぁかわいい💓』
『なんか、コウモリっぽくない?』
『あー鼻がね!でもかわいいわぁ。うわぁ三万円かぁ。高いな』
背の高い方の女の人は僕のゲージの前で一生懸命僕をみていた。僕はチラチラと彼女をみた。なんだか優しい感じの人間に見えた。
『あー凄いかわいいよ~欲しいなぁ。でもウサギがいるからなぁ…』
『えっ?真剣飼うつもりなん?』
『うーんでもねウサギがなんていうかなぁ、焼き餅やくかもしれないし高いし、でも欲しいなぁ。』だいぶ長い間その人は僕の仕草の一つ一つを観察していた、こういう人がご主人ならいいのになぁと思ったけどなんだから無理っぽい、今までも何人も人間がきてはかわいいといってたけど結局帰っていったから同じように無理なんだろうと僕は期待しないようにしていた。
『一体家に帰ってよく考えてからにするよ~欲しいけど、ウサギと、あと彼にも相談しなきゃ怒られるし』
『あー本当にあんた動物好きね~』
もう一人の人間は呆れた顔でそういった、ああヤッパリね。僕は多少がっかりしながら二人を見送った。
それからまた日曜日がきてその翌日の閉店間際
『これ!この子だよ!ねぇみて可愛いでしょ?』
それはこないだきた女の人だった。
女の人は男の人の腕をぐいぐい掴んで僕のゲージを見せた。『あーこれかぁ、へぇ変わった生き物やな』
余計なお世話だよ!『可愛いでしょ!もう一目惚れだよ。一週間考えたけどヤッパリ欲しいの!買っていいよね?』
女の人は興奮気味にそういった。僕は内心ドキドキしてた。『これって何くうの?』
『一応ネットで調べたら野菜とか果物とかコオロギって書いてたよ』
『コオロギ?!肉食なん?』
『雑食だよ!店員さんにきいてみるよ、すみませ~ん!』
女の人は店員を呼んで
『あのこの子みたいんですけどゲージから出せますか?』
『あーちょっと飛ぶんですよね、まだあんまり慣れてないし』
『懐かないんですか?』
『いえ、懐くみたいですけど多少時間はかかるかもしれませんね少し怖がりな動物なんで』
『あの飼うのは大変ですか?餌とかコオロギって書いてるのみたけど、虫は苦手で』
僕だってコオロギが好きってわけじゃあないよ。と僕はいったけど聞こえてないらしい。
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