旅だち

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僕は生まれて2ヶ月でお母さんのお腹の袋からでてきたんだ 僕たち種族は有袋類の仲間で故郷はオーストラリア、といっても僕は日本生まれの日本育ちだから故郷のことはわからない。 僕は生まれてすぐにお母さんのお腹の袋に入ってた、僕には兄弟がいて、一緒に生まれた弟がいるんだよ、二人で温かい袋の中でお母さんのおっぱいをいっぱい飲んで寝て、2ヶ月たった頃、お母さんはもう大きくなったから袋から出てきなさいっていったから、僕たちは順番に袋から顔をだして外にでたよ。 外の世界は初めてだったから毎日驚くことばっかり。 僕のいた場所はどこなのかよくわからない。お母さんとお父さんがいて、弟と4人でとても楽しい毎日だった。僕たちのご主人は女の人で毎日美味しいご飯をくれる。 僕たちはまだ小さいから野菜やフルーツのすりつぶしたご飯に蜂蜜をかけたものをくれた。 美味しいけど、お母さんのおっぱいの方が僕は好きだった。でも、もう大きくなったからおっぱいはおしまいなんだって、チェッ。 お母さんのフカフカの毛皮にしがみついてるときが一番好きだったけど、ある日お母さんが僕たちにこういった 『新しいあなたたちのご主人を探すために旅にでないといけない時がきたのよ。寂しいけれど、新しいご主人を見つけて幸せになりなさい。私たちフクロモモンガはこの国ではご主人を見つけないとうまく生きていけないのよ。』 僕たちは嫌だ嫌だとゴネた。まだお母さんのそばにいたかったし、知らないところは怖いと思ったからだ。 お母さんはだめですってキッパリいった。 今まで産まれた他の僕たちのお兄ちゃんやお姉ちゃんもおんなじようにしたのだから、頑張って、優しい良いご主人をみつけなきゃダメよと言われた。 それからしばらくしてお母さんのいってたとおり、僕たちはお母さんたちから無理やり引き離されると 小さなカゴに入れられて、どこかに移動させられた。 車という乗り物だったらしいけど、なんだかよくわからない。僕たちは狭い部屋に閉じ込められていたし、なんだかうるさい音がしていた。 お母さんやお父さんにもうあえないと思うと寂しくて泣きたくなって、僕たちは運ばれる間、ずっとギャギャと泣いていた。
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