ペットショップというところ

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新しいご主人がここにくる? 『売れ残ったらどうなるの?』 『…そりゃ』 モルモットはなんだか冴えない顔をした『ねぇ。』 『うっせぇな。売れ残ったら俺のきいた話だとご主人じゃねぇ人間に買われて大変らしいんだよ。』『ご主人じゃない人間?』 『触れ合い動物園ならまだマシだけどな、なんか実験ってやつに使われたりしたら最悪らしいぜ。』実験って何だろう?『売れ残るってどれくらいしたらそうなるの?』 『わかんねえ!でも半年いたらヤバいみたいだし。俺も焦ってんだ。』 僕は不安になってきた。お母さんのいう新しい優しいご主人に買ってもらうにはどうしたらいいのだろう… それから何日か過ぎた。ペットショップという場所はとても疲れる場所だった。うるさいし。人間が沢山くる。とくに日曜日と呼ばれる日はすごく沢山の人間がみにくるらしい。 僕は昼間は眠くて静かにして欲しかったけどウルサくて眠れなかったし、なによりご飯がまずかった。 固い豆と昆虫ゼリーと1日一回店員という人間がコオロギってやつをくれた。 中でも固い豆は固すぎて食べれたものではないしゼリーは甘くてまだましだったけど、毎日同じ味で嫌になったし、コオロギは初めて食べたけど生臭い。でもゼリーだけじゃお腹が減るからあまり好きじゃなかったけど食べた。 僕がきて二回目の日曜日という日には沢山の人間がきて僕をみていたが、眠いし僕は不機嫌だった。人間は口々に、初めてみた~とか高いわね~とかいっていた。モルモットがいったように僕はほかより高いようだ。売れ残ったらどうしよう…。 それからまた三回目の日曜日だった。隣にいたモルモットがとうとう買われていく事になった。モルモットは心底嬉しそうに 『やったぞ!おいお前、俺とうとうご主人と巡り会えた。お前も頑張れよ、じゃあな~!』 モルモットを買っていったのは小さな女の子だった。お父さんと呼ばれる人間は女の子にモルモットの入った箱を持たせてあげると女の子はきゃきゃと喜んでいた、モルモットが中でグェ~揺らすなよ~と叫んでいるのが聞こえた。 まぁちょっと手荒なご主人みたいだから幸せそうで羨ましい。 僕のご主人になる人間はいったいいつになったら僕を買いにくるんだろう… 空になった隣のゲージを見ながら僕はため息をついていた。
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