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5 無能
リベンジブルーは体が氷結して動かなかった。
頭の中では強盗犯をヴァイキングソードで真っ二つにしているが、実際の蒼木は情けないヒーローだった。
「おい!ナカナカ可愛いじゃないか?榮倉奈々に似てんな?姉ちゃん、レジに入ってる金全部この中に入れろ」
強盗犯がボストンバックをレジの女に渡した。
「あっ、あんた!共犯者!?」
オバタリアンに犯人に間違われた。
無理もないヤタラに巨大な剣を携えていたんだ。
「イヤ、これは仮装パーティーでして…………」
そのときゴリラに良く似た中年の客が強盗犯にラリアットを喰らわせた。
「ウリャァァァッ!!」
「ウワァァッ!!」
弾みで強盗犯がダガーナイフを床に落とした。
「バケモノ!ナイフ!」
バケモノ呼ばわりされたオバタリアンが、こめかみをヒクヒク痙攣させながら床に落ちたナイフを拾った。
強盗犯に馬乗りになったゴリラがビシン!バシン!とビンタを喰らわせている。
戦隊ヒーローより通行人の方が強いなんて恥ずかしいったらありゃしない。
まぁ、いいや?僕たちの目的は地球の平和を守ることじゃない。藤津に復讐をすることだ。
サイレンの音が近づいてきた。
逃げなくちゃ!ヴァイキングソードを持っていくわけにはいかない!
リベンジブルーは昔、陸上部だった。
足には自信がある!
「待ちなさい!」
走り出したところでオバタリアンがペットボトルを投げつけた!
「アァッ!」
バランスを崩してブルーは倒れた。
『あんたそれでも戦隊ヒーローなの!?ダイナマンやバイオマンに笑われるじゃない!?』
リベンジピンクのヒステリックな幻聴が聞こえた。人間のときは恐ろしいほど遅い。
『ヤル気あんのかよ!?』
レッドから殴られるだろうな?
胃が痛くなってきた。
やっぱり僕は弱いな?
パトカーがコの字を描くようにブルーを包囲する。ドアが次々に開いて警官隊が銃を抜いた。
「動くな!強盗犯!」
ボス格と思われるトレンチコートの男が叫んだ。
「僕は強盗犯じゃありません!僕は戦隊ヒーローだ!」
ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ!!まるでお笑いの舞台みたいに警官や通行人が笑い出す。
「頭おかしいのか?クスリでもやってんじゃねぇのか?かかれェ!」
トレンチの怒号とともに警官たちが走り出した。リベンジブルー…………逮捕!
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